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最高裁判所第三小法廷 昭和40年(あ)1073号 決定 1965年10月19日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長谷川信の上告趣意は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない(被告人が昭和三九年三月六、七日頃、佐々木金十郎から投票並びに投票取纒めの選挙運動を依頼され、その報酬として金一、〇〇〇円の供与を受けたとの受供与罪につき、被告人の捜査段階における自白と、右日時頃被告人から、「佐々木金十郎から金を貰って来たがお前にもやる、選挙のときは佐々木金十郎に投票してくれ」と頼まれ、自分の分として金五〇〇円貰ったとの旨の被告人の妻木村カネの供述とを綜合し、右受供与罪の事実を認定した原判決の措置は、刑訴法三一九条二項に違反しない)。また、記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない(所論被告人の捜査段階における自白の任意性を疑うべき証跡は記録上存しない)。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 柏原語六 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)

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